ご機嫌斜め

さくらがでっかい声でよく泣く
高い所に登ってみやーん
台所の奥っちょにいってはみやーん
お風呂の前まで小走りでいってみやーん
今までは休日は僕のおなかの上に座り込み、
ぐるぐるいいながらおだやかに時を過ごしていたのだが、
その場所をもみじに奪われるようになり、遠くからもみじをにらみつけ、
ついでに僕にも冷たい視線を浴びせる
そして止む事のないみやーんだけが響き渡る

さくらは一番の古株で僕が結婚する前に、嫁の実家の裏で野良ちゃん夫婦の間に生まれた子である
生後3ヶ月くらいで僕が引き取り、それ以外の子は嫁宅がそのまま裏庭で飼うこととなった
それから半年程僕とさくらと嫁の3人の生活が続いたが、典型的な一人っ子で
我が家の王様、全盛期のキングカズやマラドーナ、磯貝のようなやりたい放題であった

その後くろが来て、もみじもやってきた
特にもみじはうちに来た時には既に重病患者で手がかかりっきりであった
自然にさくらと接する時間が減り、代わりもみじとの時間が増えていった

さくらはもみじの状況など理解したくも無いのだろう
みやーん、みやーん、私はここよ、早く来なさいよ
ここにきて背中を両手でなでなでしなさいよ
と今日も僕を罵るのだ